街の本屋さんは年々減少しています。
日本著者促販センターが公表しているデータによると、2000年初頭には21,000店ほどあった書店が2017年には12,500店と、4割減少しています。
読書離れもあるでしょうが、大きくはネット通販の普及があげられています。
最大手のAmazonでは取次の廃止が試験的に導入されることが決まっており、この流れは今後も加速するかもしれません。
こうした時流の中で、街の本屋さんにも独自の路線を開拓する個性派が現れ始めています。
本と出会うための本屋さん 文喫さん
1,500円の入場料が必要になりますが、立ち読み座り読み可。
本好きなら1日中居座れます。
珈琲、煎茶おかわり自由(閲覧室で飲食可)、喫茶室で軽食が提供されており、Wi-Fi完備、とじっくり時間を掛けて本を選べる(読める)環境が提供されています。
研究室では談笑ができるので、読書会にも使えそうです。
宿泊可能な本屋さん 武相庵さん
昨年12月に東京町田にオープンした施設です。
宿泊スペースの本は基本的に販売していないようです。
本屋さんというより、オシャレな漫喫という感じ。
ビジネスホテルに充実した図書室と喫茶スペースが併設されている、という感じでしょうか。
言葉の壁を超えた本屋さん 恵文社一乗寺店さん
2008年と少し古いのですが、イギリスのガーディアン紙が選定したThe world's 10 best bookshops(世界最高の本屋10選)にも選ばれた本屋さんです。
ベストセラー本や定番本ではなく、スタッフが納得いくものを丁寧に紹介したい、というスタンスを貫いています。
本以外にも雑貨などを取り扱っていて、料理本コーナーの近くにはオシャレな食器類が陳列されています。
独自の選書サービスがうりの本屋さん 岩田書店さん
北海道にある小さな本屋さんです。
街の本屋さんですが、ネット通販で「一万円選書」という独自の販売法を行っています。
お客さんは事前にカルテを記入します。
それに合わせてご自身も大変な読書家である店主の岩田さんが、お客さん一人ひとりのために独自に選んだ一万円分の書籍を詰め合わせ販売されています。
TVに紹介されたこともあり、現在は抽選制になっています。
次回の受付予定は2019年10月8日〜10日とのこと。
時間・空間という付加価値
便利なネット通販に対して、リアル店舗の個性派本屋さんは、本屋という空間と本を読む・買うという時間に特別な付加価値を付ける方向にシフトしているようです。
目的が決まっているときはネット通販で、自分の興味の枠を拡げたいときは、本との出会いを求めてこうした個性派本屋へ、と役割の違いが明確になっていくかもしれません。