韓国政府、モデルナに抗議するも、そもそも契約には年間供給量しか明記されていなかった?話

モデルナのワクチン供給の遅れを日本はファイザーワクチンでカバーしています。現在発表されているワクチン配送スケジュールでは9月末までにモデルナから5000万回受け取ることになっており、これに変更はないそうです。また、モデルナ側のトラブルも解消済みであることから、日本国内でこの話題が報道されている様子は既にありません。

お隣の韓国では政府関係者が米国モデルナ本社を直接訪れ「抗議」したそうです(17日発表)。で、「遅れている7〜8月分を9月初めまでに供給するよう」要求したとか。
モデルナ社側からは「謝罪」と「最善を尽くす」という言葉を引き出しましたがそれだけです。

結局モデルナからは「鋭意努力します」という口約束だけ取り付けて引き下がった格好です。
なぜそれだけなのか、というと韓国政府が要求する「遅れている7〜8月分」ですが、契約書の上ではどうやら「そんなものは無かった(らしい)」からです。
韓国政府とモデルナとの契約では「年内供給量」しか明示されていなかったそうです。つまりモデルナは契約違反をしているわけではありません。韓国政府が勝手に四半期ごとの受取スケジュールを決め、接種計画を立てていたことになります。


聯合ニュースの記事からです。

「ワクチン契約上の年単位物量は確定...細部の計画は協議で決める」


政府は新型コロナウィルス感染症(コロナ19)ワクチン導入遅延に関連し、購買契約において年単位で供給量を決めた後、細部計画は追加協議で決める、と説明した。しかし四半期別導入量が定められているかなど、細部契約内容については秘密保持契約を理由に答弁を避けた。

(中略)

政府は先のブリーフィングでも年内に導入されるワクチン物量は製薬会社との契約書に明示されている、と明らかにしている。
月別・四半期別に入ってくる具体的な物量、供給日程などは通常、協議を通じて決めているというのが政府の説明だ。

しかし一部では3ヶ月単位の四半期別計画すら具体的に取り決められていないのでは、という指摘が出ている。

これに関しソン班長は「詳細な契約内容は『秘密保持契約』に該当する事項なので明瞭に話すことは出来ない」とだけ述べた。

彼は、年単位の供給量さえ満たせば月別の供給量など細部の供給計画が遅れたり、一部に支障が出たりしても契約上の問題は発生しないものと見られるのか、という質問には明確に答えなかった。

(後略)

聯合ニュース「"백신 계약상 연단위 물량은 확정…세부 계획은 협의로 정해"(ワクチン契約上の年単位物量は確定...細部の計画は協議で決める)」より一部抜粋


結局分かっているのは「年内供給量は契約書に明示されている」ことだけです。しかし、四半期供給量については「機密保持契約」を盾に書面契約が交わされているかどうかすら話さないというのは、変なことを言うなぁ、というのが素直な感想です。
契約について具体的な内容が話せないのは当然としても、その項目の有無に言及するくらいは問題無いように思えます。年間供給量については項目があることを既に認めているわけですし。

上でも触れましたけれど、年間供給量を元に韓国政府が勝手に四半期ごとの受取スケジュールを決め(四分割?)、接種計画を立てていた、ということなんではないでしょうか? お得意の「キムチの汁から先に飲む(取らぬタヌキの皮算用)」ですね。

個人的に四半期供給量の書面取り交わしは無かったと思います。あればもっと強気に出ているでしょう。
無かったからこそ、四半期供給量契約のある国を優先し、韓国への供給が遅れていると考えた方が納得がいく気がします。

別の記事(ニュース1)ですが「9月初旬に遅れている分を供給するように、という韓国政府の要求が反映されない場合、批判の声が更に大きくなる見通しだ」的な事が書かれており、よりハードルが上がってしまっている感があります。
ファイザー分で凌ごうにも、9〜11月のファイザー供給分はイスラエルとのワクチンスワップ返却に一部充てられる(ファイザーから韓国供給分を直接イスラエルに振り替えられる)という話ですし、モデルナと進めている韓国内の委託生産もまだ稼働していません。
多分、追加のワクチンスワップに動くと思います。日本は目を合わせないで欲しい...どうせ後で「余計なお世話だった」とか言われるんですから。