Brexitを口実にした、ただのヘイト行為の話

2月1日の午前零時にイギリスはEUから正式に離脱しました。
その離脱の数時間前にウィンチェスタータワーというフラット(アパート)に「英語以外の言語を話すことを認めない」という趣旨のビラが掲示されていたそうです。

母語アイデンティティの強く表れる部分の一つですので、これからの大変な時期を乗り越えるために愛国心を鼓舞して団結力を高めよう、という気持ちは分かるのですが、それが外国人(外国語話者)排斥に向くのは時代錯誤と言わざるを得ません。


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ざっくり言うと次のようなことが書かれています。

  • 我々はついに偉大な国を取り戻した。
  • ここではクイーンズ・イングリッシュ*1が話されているので、このフラットでは英語以外の言語を話す人々を認めない。
  • 母国語を話したいなら自国に戻ることを勧める。
  • そうすれば正常な状態に戻ることが出来る。


最後の一文は「神は女王と彼女の政府とすべての真の愛国者を救います」と結ばれています。

これが15階の全ての防火扉に貼り付けられていたそうです。(なぜ15階だけなのかは分かりませんが、もしかしたら外国人が住んでいたのかもしれません)


ビラは管理人により撤去済みで、警察にも通報されているようです。
こうした動きはごくごく一部の極端な発想によるものでしょうが、愛国と外国人への憎悪とを履き違えるのはどこの国でも似たようなものみたいです。


これから英国は困難が予想されます。
こんなときほど、内だけで固まるのではなく、いかに外国(他文化)を味方に取り込めるかが大事になってくると思うのですけどね。


*1:女王を含むアッパークラス(上流階級)が話す英語。