慰安婦判決は「売国裁判」という話

ニュースタウンという保守系インターネット・メディアに、8日の慰安婦判決が「売国判決」とするコラムがありました。チョ・オソクさんという評論家のものです。元KBS理事で極右論者とされています。
この判決により韓国は外交安保まで危うくしてしまっており、国益になっていないという意味で「売国」としているようです。
裁判そのものが成立しない、という部分も一応触れてはいますが、それよりもムン・ジェイン政権への批判(若干感情的)が主です。彼らが「反日扇動した結果が今」であり、全ての根本原因を「反日扇動」に押し付ける形ではありますが、慰安婦裁判の判決への「異見」の一つとして紹介します。


ニュースタウンの記事からです。

最悪の慰安婦判決、なぜそれが売国裁判なのか?

韓国裁判所が慰安婦おばあさんらに対して、日本政府が損害賠償をすべき責任があるという最悪の判決、亡国的な判決を下した。 〜(中略)〜 国内メディアはこの裁判を慰安婦被害者が収めた勝利、と報道したがいずれもデタラメだった。この一ヶ月、何度か良い判決で希望を持たせてくれた裁判所が再び国を台無しにし、それを責める媒体はなく、その理由を説得力を持って説明したメディアは更に無い。

それがこの国の現実だが、読者の皆さんは、もううんざりした徴用工問題に慰安婦問題が登場するので、よく把握できず頭が痛いでしょう。そこで、今日は明快に整理します、今回の判決がなぜ最悪なのか?1年半前、ムン・ジェインとチョ・グクが起こした反日扇動が少し落ち着いたのが今だが、それを完全に振り出しに戻してしまった。そのため、この国の外交安保環境まで危うくしてしまった。

(中略)

その理由を私は3つにまとめるが、まず第一に、あまりにも顔色を伺わない判決だった。そのため、先程言及したとおり、再び韓日関係を降り出しに戻してしまった。事実、昨年末からムン・ジェインは駐日大使を変えるなど、韓日関係を慎重に和解ムードに導いた。もちろん今年、東京オリンピックキム・ジョンウンを東京に呼んで、史上最大の詐欺ショーをまた繰り返そうというものだが、とにかく慰安婦にぶら下がる外交方式だけではいけない、という独自の反省を少しした結果のはずなのに、これを完全に台無しにしてしまった。今回のチンピラのような判決を見て、外交部と青瓦台がパニック状態に陥り、米国務省も驚いているという報道を、裁判所がちゃんと見たのかが気になる。恐らく裁判所はこの判決に国際的な人道主義を実践し、正義を実現したと自負するだろうが、実に愚かな友人たちがあなたたちだ。

第二に、今回の裁判部は国際関係と外交安保を知らなければ、国際法と韓日間条約に目を通すべきだったが、それさえなかった。一言で言うと無知そのものだった。決定的に1965年の韓日協定により、韓国人個々人が日本政府に対し、依然として別途の損害賠償請求ができなくなったという明白な事実を今回の裁判は無視した。半世紀を超えた韓日協定で請求権は完全に整理された。それが常識だということを、あの有名な本<反日種族主義>という本は改めて明らかにしている。今回の判決は65年に締結された韓日条約を破るということだが、正気の沙汰とは思えない。話しにならない。国があってこそ裁判所もあるのだ。

今回の判決が亡国的な第三の理由は、あなたたち裁判部はデタラメな反日感情により今回の判決ハンマーを振り下ろしたためだが、それが決定的だ。ムン・ジェイン政権が発足した後、彼らは前政権すなわちパク・クネ政府がやっと日本政府と合意した2015年慰安婦合意を勝手に破棄して、それを外交分野の積弊精算だと決めつけている。3年後、キム・ミョンス最高裁が徴用工に対する日本企業の賠償責任を認めたのは、それに付和雷同した行為だった。私はその裁判を建国以来最悪の裁判に挙げるが、あなたたちソウル中央地裁民事合議34部はその恥ずべきことをまた繰り返したのだ。

(中略)

大きく見て、今回の裁判は単純な賠償判決を超えてムン・ジェインが残した反国家的遺産をきちんと整理してくれなければならない歴史的義務があったが、それがこの上なく惜しい。視野が狭く無知な裁判所がその義務を果たすことをしなかった。結局、このような亡国的裁判に原因を提供したのは、やはりムン・ジェインということを明らかにしておく。結局、韓日関係は次の政府が発足して解決しなければならないというのが惨憺たる心情である。この国を覆っている闇が実に深くて濃いということを再確認する。

ニュースタウン「최악의 위안부 판결, 왜 그게 매국 재판인가?(最悪の慰安婦判決、なぜそれが売国裁判なのか?)」より一部抜粋


第一の理由には私は賛成できません。
判決を出すのに顔色を伺う(空気を読む)べき、というのは、かなりどうかと思います。
ムンさんが日韓関係を慎重に扱っていたというのも、それは「韓国側の話」であって「日本側の話」は一切考慮されておらず、これで「和解のムード」が本当に出来ていたと考えるなら随分楽観的です。
これは「韓国が手を差し伸べれば日本はその手を掴むに違いない」とする、あちらの政府関係者や(自称)知日派の人と根本的に同じ考え方のように思います。

反日は別に左寄りだけが煽ったのはありません。韓国では右も左も反日です。なぜなら、韓国という国のあり方そのものに「反日の精神」が掲げられているからです。
厳密にいうと「克日の精神」ですが、相手を追い抜くために努力するのではなく、相手を自分より下に引きずり下ろす…このような形で発現したのが一つの「反日」の形です。
ですから新政権が誕生したところでその性根は変わらないでしょう。