泣く子(北朝鮮)が欲しがっている餅の話

ロイター通信の報道によると、米艦軍事演習は延期されることになったそうです。
北朝鮮との停滞した平和推進を強化するため」に軍事演習を延期する、と発表しました。

エスパー国防長官は「私たちはDPRK*1が前提条件やためらい無しに交渉テーブルに戻ることを求める」と、会談再開を促しています。


まあ、譲歩したという形です。あんまり意味はないと思いますが…。


韓国には「泣く子に餅をもうひとつあげる(우는 아이 떡 하나 더 준다)」ということわざがあります。北朝鮮にもあるのかは知りませんけれども、これは「泣く子=面倒な人を黙らせる為に利益を与える」という意味合いがあります。

日本のネット界隈では「ゴネ得*2」として否定的ニュアンスで捉えられているようですが、韓国では必ずしもそういう捉え方はされていません。

ある投資家向けのコラムでは「泣く子に餅をもう一つ与える、という言葉があります。投資家は(出資企業と)定期的に、継続してコミュニケーションを取って下さい。その後、餅が生じ、ご飯もお酒も生じます」という表現がありました。

捉えようによっては、これは「自身の権利を声高に主張せよ」という意味合いとして使われていることが分かります。
つまり韓国人(北朝鮮人も?)に対しては、餅が生じ続ける限り、それは自分の当然の権利として受け取られるということです。


日本人が「ゴネ得」と聞いた時に感じるのは、「自分の権利が本来及ばないところの利益を得た」と捉えるのでズルいとか、セコいとか否定的な印象を持つのに対し、韓国人(北朝鮮人も?)にとって「餅を一つ多くもらう」ことは 「自分の権利が及ぶ範囲が拡大した」と捉えるのではないでしょうか。

相手が譲歩した瞬間にそれは権利となるので、次に譲歩を取り消すと「権利を奪われた」と感じるのです。


その証拠に、というわけではありませんけれども、北朝鮮アメリカとの対話に応じるつもりはない、とまだ「泣く子」のままです。もっと餅を寄越せ、と言っています。

中央日報の記事からです。

北、国連人権決議に反発...「米とはもはや直接対面の意欲ない」


北韓が14日(現地時間)、国連総会参加の第三委員会で、北韓の人権侵害を批判する北韓人権決議案を採択したことについて激しく非難した。

17日、北韓外務省のスポークスマンは談話を通じて「我々を標的と明らかに定め、我々の制度を強度的に抹殺しようとする敵対勢力の無分別な政治的挑発行為に厳しく断罪糾弾する」と述べた。

(中略)

それとともに「過ぎた歴史が示すように、彼らに従わない国の政権交代をしようとするたび、人権問題を操作して、これを侵略の口実に活用するのは帝国主義者の常套的な手法だ」と主張した。
外務省は「実は、数日前にしても、米国が南朝鮮との合同軍事演習を調整する意思をほのめかしたことについて、私たちなりに相手の私たちのための考慮から、緊張状態を緩和し、会話の機会を作ろうとする肯定的な試みの一環として見るために精一杯努めた」と語った。

また「今回の反共和国人権決議が高圧採択されたことを見て、我々は米国が、我々の制度を崩そうとする途方もない夢をまだ捨てていないということを改めて明白に確認することになった」と説明した。

(中略)

外務省スポークスマンは「我々は、このような相手とはもはや直接座る意欲がない」とし「さらに神聖な私たちの共和国を国際刑事裁判所などと結びつけている米国と向き合い座る必要はなおさらない」と強調した。

(後略)

中央日報「北, 유엔 인권결의 반발…"美와 더이상 마주앉을 의욕 없어(北、国連人権決議に反発...「米とはもはや直接対面の意欲ない」)」より


北朝鮮の肩を持つわけではありませんが、「人権」を口実にアメリカさんが(自国の利益のための)余計なお節介を焼いてきたことは確かに事実です。
とは言え、それを北朝鮮の人権問題とそのまま置き換えて考えて良いかというと、また別だとは思いますけどね。

泣く子が求めている餅は、体制に対する絶対の保証です。それが得られるまで泣き続けます。


*1:朝鮮民主主義人民共和国Democtatic People's Republic of Korea

*2:ゴネて得する